j子等は我を揖《いふ》して請へり。われは「キタルラ」の琴を抱きて人々に題を求めつ。忽ち一少女の臆する色なく目を我面に注ぎてヱネチア[#「ヱネチア」に二重傍線]と呼ぶあり。男子幾人か之に應じてヱネチア[#「ヱネチア」に二重傍線]、ヱネチア[#「ヱネチア」に二重傍線]と反復せり。そはかの少女の頗る美なるが爲めなり。われは絃を理《をさ》めて、先づヱネチア[#「ヱネチア」に二重傍線]往古の豪華を説きたり。人々は歴史と空想とを編み交ぜたる我詞章に耳を傾けつゝ、彼過去の影をもて此現在の形となすにやあらん、その眼光は皆|耀《かゞや》けり。われは心中にララ[#「ララ」に傍線]をおもひサンタ[#「サンタ」に傍線]をおもひつゝ、月明かなる夜、渠水《きよすゐ》に枕《のぞ》める出窓の上に、美人の獨りたゝずめる状《さま》を敍したり。婦人等はこれを聞きて、謳《うた》ふもの直ちに己れを讚むとなすにやあらん、繊手を拍《う》ちて我に酬《むく》いぬ。わが席上の成功はスグリツチ[#「スグリツチ」に傍線](原註、知名の即興詩人)にも讓らざる如くなりき。
 ポツジヨ[#「ポツジヨ」に傍線]は我耳に附きて、市長《ボデスタ》の姪あ
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