宴`ナ」に二重傍線]なる橄欖の林の棕櫚《しゆろ》を交へたるが如くならず。されど我は猶此感の我中情より出でたるにあらざるかを疑へり。
道は一苑を過ぎて、巖壁と激流との間なる街※[#「木+越」、第3水準1−86−11]《なみき》に入りぬ。その木は皆鬱蒼たる橄欖なり。これを行く間、われは早く水沫《みなわ》の雲の如く半空に騰上《とうじやう》して、彩虹の其中に現ぜるを見き。蝦夷石南《レヅム》と「ミユルツス」との路を塞げるを、押し分けつゝ攀《よ》ぢ登りて見れば、大瀑《おほたき》は山の絶巓《ぜつてん》より起り、削《けづ》れる如き巖壁に沿ひて倒下す。側に一支流ありて、迂曲して落つ。其|状《さま》銀色の帶を展《の》べたる如し。この細大二流は、わが立てる巖《いはほ》の前に至りて合し、幅|闊《ひろ》き急流となり、乳色の渦卷を生じて底《そこひ》なき深谷に漲《みなぎ》り落つ。雷の如き響は我胸を鼓盪《こたう》して、我失望我苦心と相應じ、我をして前《さき》に小尼公《アベヂツサ》の爲めにチヲリ[#「チヲリ」に二重傍線]の瀧の前に立ちて、即興の詩を吟ぜし時の情を憶ひ起さしむ。げにや、碎け、消え、死するは自然の運命なる
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