ヘ晝間の譴責《けんせき》に懲りて、室の片隅に隱れ避け、一語をだに出ださゞりき。人々は圈《わ》の形をなして、ペリイニイ[#「ペリイニイ」に傍線]といふものゝめぐりに集へり。この人は齡《よはひ》略《ほ》ぼ我と同じくして、その家は貴族なり。心爽かにして頓智あり、會話も甚《いと》巧《たくみ》なれば、人皆その言ふところを樂み聽けり。忽ち人々の一齊に笑ふ聲して、老公の聲の特《こと》さらに高く聞えければ、われは何事ならんとおもひつゝ、少しく歩み近づきたり。然るに我は何事をか聞きし。晝間我が語りて人々の咎に逢ひし、彼《かの》一口話は今ペリイニイ[#「ペリイニイ」に傍線]の口より出でゝ人々に喝采せらるゝなりき。ペリイニイ[#「ペリイニイ」に傍線]は一句を添へず又一句を削《けづ》らず、その口吻態度|些《ちと》の我に殊なることなくして、人々は此の如く笑ひしなり。語り畢る時、老公は掌《たなぞこ》を撫して、側に立ちて笑ひ居たる姫に向ひ、いかにをかしき話ならずやと宣給へり。姫、まことに仰せの如くに侍り、けふ午《ひる》の食卓にて、アントニオ[#「アントニオ」に傍線]が語りし時より然《し》かおもひ侍りきと答へ給ふ。そ
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