i立坊《たちんばう》抔《など》の類)の裸※[#「ころもへん+呈」、第3水準1−91−75]《らてい》なるが煖き沙《すな》に身を埋めて午睡せるあり。その常に戴ける褐《かち》色の帽は耳を隱すまで深く引き下げられたり。寺院の鐘は鳴り渡れり。紫衣の若僧の一行あり。頌《じゆ》を唱へて過ぐ。捧ぐる所の磔像《たくざう》には、新に摘みたる花の環を懸けたり。
 市の上なる山の左手に、深き洞穴に隣れる美しき大僧堂あり。今は外人《よそびと》の旅館となりて、凡そこゝに來らん程のもの一人としてこれに投ぜざるはなし。夫人をば輿《こし》に載せて舁《か》かせ、我等はこれに隨ひて深く巖《いはほ》に截《き》り込みたる徑《こみち》を進みぬ。下には清き蒼海を瞰《み》る。一行は僧堂の前に留りぬ。内暗き洞穴は我等に向ひて其|※[#「月+咢」、第3水準1−90−51]《あぎと》を開けり。穴の裏《うち》には十字架三基ありて、耶蘇と二賊との像これに懸り、巖上には彩衣を着て大いなる白き翼を負ひたる數人の天使|跪《ひざまづ》けり。皆美術品などいふべき限のものにはあらず、木もて彫り斑《まだら》にいろどりたるまでなり。されど信仰の温き情は影を
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