I」に二重傍線]の山の噴火一層の劇《はげ》しさを加へて、熔巖の流愈※[#二の字点、1−2−22]|闊《ひろ》く漲り遠く下ればなり。岸邊には早くそを看んとて、舟を買ひて漕ぎ出づるものあり。
「アヱ、マリア」の鐘鳴り止む頃、再び博士の家に往きぬ。門に進みて婢《はしため》に問へば、家にいますは夫人のみにて、目覺《めざ》めて後は快くなれりとのたまへり。間雜《つね》の客をばことわれと仰せられつれど、檀那《だんな》は直ちに入り給ひても宜《よろ》しからんとなり。美しくして晴れがましからず、心もおのづから靜まりぬべき室なり。窓の前には厚き質の幌《とばり》を垂れたるが、長く床を拂へり。鏃《やじり》研《と》ぐ愛の神の童の大理石像あり。アルガント[#「アルガント」に傍線]燈は人を迷はさんと欲する如き光もてこれを照し出せり。こはわが轉瞬の間に看出《みいだ》したる室内のさまなりき。夫人は輕げなる寢衣《ねまき》を着て、素絹の長椅《ソフア》の上に横はりたりしが、我が入るを見て半ば身を起し、左手《ゆんで》もて被《ひ》を身に纏ひ、右手を我にさし伸べたり。
 アントニオ[#「アントニオ」に傍線]の君よ、思の儘に捷《か》ち
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