c《アダム》が第一の子にして、弟を殺して神に供へき。)この間幾時をか經たる、知らず。わが足を駐《とゞ》めしは、黄なるテヱエル[#「テヱエル」に二重傍線]の流の前を遮《さへぎ》るを見し時なりき。羅馬より下、地中海の荒波寄するあたりまで、この流には橋もなし、また索《もと》むとも舟もあらざるべし。この時我は我胸を噬《か》む卑怯の蛆《うじ》の兩斷せらるゝを覺えしが、そは一瞬の間の事にて、蛆は忽《たちまち》又|蘇《よみがへ》りたり。われは復《ま》たいかなる決斷をもなすこと能はざりき。
われはふと首《かうべ》を囘《めぐ》らしてあたりを見しに、我を距ること數歩の處に、故墳の址あり。むかしドメニカ[#「ドメニカ」に傍線]が許に養はれし時、往きて遊びし冢《つか》に比ぶれば、大さは倍して荒れたることも一入《ひとしほ》なり。頽《くづ》れ墮《お》ちたるついぢの石に、三頭の馬を繋ぎたるが、皆おの/\顋下《さいか》に弔《つ》りたる一束の芻《まぐさ》を噛めり。
墓門より下ること二三級なる窪みに、燃え殘りたる焚火を圍める三個の人物あり。その火影の早く我目に映らざりしにても、我が慌てたるを知るに足るべし。火の左右に
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