sそれ》の役を浚《さら》ひ居たり。われはおうなに物言ひこゝろみしに、この人はおもひしよりも耳疎かりき。されどそのさま我が詞を交ふるを喜べる如し。われは前《さき》の日即興の詩を歌ひしとき、この人の嬉《たのし》み聽けるさまなりしをおもひ出でゝ、その故をたづねしに、あやしとおもひ給ひしも理《ことわ》りなり、君の面を見、君の詞の端々を聞きて、おほよそに解《げ》したるなり、さてその解したるところはいとめでたかりき、平生アヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]が歌うたふを聽くときも亦同じ、耳の遠くなりゆくまゝに、目もて人の聲を聞くすべをば、やう/\養ひ成せりといふ。媼はベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]が上を問ひ、そのきのふ留守の間におとづれて、共に畫廊に往くこと能はざりしを惜みき。われ媼がベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]を喜べるゆゑを問ふに、かの人の心ざまには優れたるふしあり、われその證《あかし》を見しことあればよく知りたり、猶太の徒も基督の徒も、神の目より視ば同じかるべければ、彼人の行末を護り給ふならんといふ。やうやくにして媼はことば多くなりぬ。その姫を愛でいつくしむ情はいと深し
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