モごとに、必ず心の底に徹する如き念をなせり。この高潔といふものは、その作畫者のために缺くべからざること、度曲者《ときよくしや》に於けると同じ。名作中こゝかしこに稍※[#二の字点、1−2−22]過ぎたりと見ゆる節あるをば、その作者の一時の出來心と看做《みな》して、恕《ゆる》すこともあるべけれど、その疵瑕《しか》は遂に疵瑕たることを免るべからず。わがまことに愛づるは無瑕の美玉にこそ。われ。さらば君は變化を命題の間に求めんことをば是とし給はずや。いかなる大家|鉅匠《きよしやう》にても、幅ごとに題を同うせば人の厭倦を招くなるべし。姫。否々、そは我が言はんと欲せしところにあらず。わが本意は畫工に聖母のみ畫かせんとにはあらず。めでたき山水も好し。賑はしき風俗畫、颶風《ぐふう》に抗《あらが》ふ舟の圖も好し。サルワトオレ・ロオザ[#「サルワトオレ・ロオザ」に傍線]が山賊の圖もいかでか好からざらん。われは唯だ藝術の境に背徳を容れじとこそ云へ。わが趣味より視れば、かの「シヤリア」宮なるシドオニイ[#「シドオニイ」に傍線]の畫の如きすら、その巧緻その汚穢《をわい》を掩《おほ》ふに足らず。君は猶彼圖を記し給ふ
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