ヲへんとおもふわれ、幸にボルゲエゼ[#「ボルゲエゼ」に傍線]の館の管守、門番など皆識りたれば、そは容易《たやす》き事なりとて、あくる朝姫と媼とを伴ひ往かんことを約しつ。かの館は羅馬の畫廊のうちにて最も備れる一つなり。フランチエスカ[#「フランチエスカ」に傍線]の君の穉《をさな》き我を伴ひ往き給ひしはかしこなれば、アルバニ[#「アルバニ」に傍線]が畫の羽ある童は皆わが年ごろの相識なり。
靜なる我室に歸りて、つら/\物を思ふに、ベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]はまことに彼君を戀ふるに非ず。卑しき色慾を知りて、高き愛情を解せざる男の心と、深けれども能く澹泊《たんぱく》に、大いなれども能く抑遜《よくそん》せる我心とは、日を同じくして語るべからず。さきの日の物語の憎かりしことよ。彼はたゞ驕慢《けうまん》なり。彼はたゞ放縱なり。かくて飽くまで我を傷けたり。そはアヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]の我に優しきを妬《ねた》みてなるべし。初め我を紹介せしは、いかにも彼男なりき。されど今その心を推《すゐ》すれば、好意とはおもはれず。おのが風采態度のすぐれたるを彼君に見するとき、その側に世馴れ
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