烽またゝび呼出されぬ。歸途に人々の車を挽けるも亦同じ。我もベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]と共に車に附き添ひて、姫がやさしき笑顏を見送りぬ。

   謝肉祭の終る日

 翌日は謝肉祭《カルナワレ》の終る日なりき。又アヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]が滯留の終る日なりき。我は暇乞《いとまごひ》におとづれぬ。市民がその技能に感じて與へたる喝采をば、姫深く喜びたり。フイレンチエ[#「フイレンチエ」に二重傍線]はその自然の美しき、その畫廊の備《そなは》れる、居るに宜《よろ》しきところなれど、再生祭の後こゝに歸らんことは、今より姫の樂むところなり。姫はかしこの景色を物語りぬ。アペンニノ[#「アペンニノ」に二重傍線]の森林、豪貴の人々の別莊の其間に碁布せるピアツツア、デル、グランヅカ[#「ピアツツア、デル、グランヅカ」に二重傍線]、其外美しき古代の建築物など、その言ふところ人をして目のあたりに見る心地せしめき。
 姫のいはく。我は再び畫廊に往かむ。我に彫刻を喜ぶこゝろを生ぜしめしは彼處《かしこ》なり。プロメテウス[#「プロメテウス」に傍線]が死者に生を與ふるに同じく、人間の心の偉大
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