mれるものも幾人か雜りたるが、アヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]が家の窓の下に往きて絃歌を催さむといふ。我は崇拜の念止み難き故をもて、膽《きも》太くもまたこの群に加りぬ。唱歌といふものをば止めてより早や年ひさしくなりたるにも拘らで。
 姫が歸りてより一時間の後なりき。一群はピアツツア、コロンナ[#「ピアツツア、コロンナ」に二重傍線]に至りぬ。出窓の内よりは猶燈の光さしたり。樂器執りたる人々は窓の前に列びぬ。我心は激動せり。我聲は臆することなく人々の聲にまじりたり。歌の一節をば、われ一人にて唱へき。この時我は唯だアヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]が上をのみ思ひて、すべての世の中を忘れ果てたり。さて深く息して聲を出すに、その力、その柔《やはらか》さ、能くかく迄に至らんとは、みづからも初より思ひかけざる程なりき。火伴《つれ》のものは覺えず微《かすか》なる聲にて喝采す。その聲は微なりと雖、猶我耳に入りて、我はおのが聲の能く調へるに心付きたり。喜は我胸に滿ちたり。神は我身に舍《やど》り給へり。アヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]が出窓よりさし覗きて、身を屈し禮をなしたるときは、そ
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