モみをさながらに、おとにうつしてこよひこそ、聞くとは思へ、うため(歌女)の君に。
[#ここで字下げ終わり]
我は嘗てダンテ[#「ダンテ」に傍線]の詩をもて天下に比《たぐひ》なきものとなしき。さるを今アヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]が藝を見るに及びて、その我心に入ること神曲よりも深く、その我胸に迫ること神曲よりも切なるを覺えたり。その愛を歌ひ、苦を歌ひ、狂を歌ふを聞けば、神曲の變化も亦こゝに備はれり。アヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]我詩を讀まば、必ず我意を解して、我を知らんことを願ふならん。斯く思ひつゞけて、やう/\にして眠に就きぬ。後に思へば、我は此夕我詩を評せしにはあらで、始終詩中の人をのみ思ひたりしなり。

   をかしき樂劇

 翌日になりて、ベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]を尋ね求むるに、何處にもあらざりき。ピアツツア、コロンナ[#「ピアツツア、コロンナ」に二重傍線]をばあまたゝび過ぎぬ。アントニウス[#「アントニウス」に傍線]の像を見んとてにはあらず。アヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]の影を見る幸もあらんかとてなり。彼君はこゝに住へり。外國人にし
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