繧閧オかど、いも寐られず。われはこよひ見し阿百拉《オペラ》の全曲を繰り返して心頭に畫き出せり。ヂド[#「ヂド」に傍線]が初めて場に上りし時、單吟《アリア》に入りし時、對歌《ヅエツトオ》せし時より、曲終りし時まで、一々肝に銘じて、其間の一節だに忘れざりき。我は手を被中《ひちゆう》より伸べて拍《う》ち鳴らし、聲を放ちてアヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]と呼びぬ。次に思ひ出したるは我が心血を濺《そゝ》ぎたる詩なり。起きなほりてこれを寫し、寫し畢《をは》りてこれを讀み、讀みては自ら其妙を稱《たゝ》へき。當時はわれ此詩のやゝ情熱に過ぐるを覺えしのみにて、その名作たることをば疑はざりき。アヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]は必ず我詩を拾ひしならん。今は彼少女家に歸りて半ば衣を脱ぎ、絹の長椅《ソフア》の上に坐し、手もて頤《おとがひ》を支へて、ひとり我詩を讀むならん。
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きみが姿を仰ぎみて、君がみ聲を聞くときは、おほそら高くあま翔《かけ》り、わたつみふかくかづきいり、かぎりある身のかぎりなき、うき世にあそぶこゝちして、うた人なりしいにしへのダヌテ[#「ダヌテ」に傍線]が
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