閧ォ。
われは生れかはりたる如くなりき。ダンテ[#「ダンテ」に傍線]は實にわがために、新に發見したる亞米利加なりき。我空想は未だ一たびも斯く廣大に、斯く豐饒なる天地を望みしことなかりしなり。その岩石何ぞ峨々たる。その色彩何ぞ奕々《えき/\》たる。我は作者と共に憂へ、作者と共に樂み、作者と共に當時の生活を閲《けみ》し盡したり。地獄の關に刻めりといふ銘は、全篇を讀む間、我耳に響くこと、世の末の裁判の時、鳴りわたるらん鐘の音の如くなりき。その銘に云《いは》く。
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こゝすぎて うれへの市《まち》に
こゝすぎて 歎の淵に
こゝすぎて 浮ぶ時なき
群に社《こそ》 人は入るらめ
あたゝかき 情はあれど
おぎろなき 心にたづね
きはみなき ちからによりて
いつくしき 法《のり》をうき世に
しめさんと この關の戸を
神や据ゑけん
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われは※[#「風にょう+(犬/(犬+犬))、第4水準2−92−41]風《へうふう》に捲き起さるゝ沙漠の砂の如き、常に重く又暗き空氣を見き。われは亡魂の風に向ひて叫喚するとき、秋深き木葉の如く
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