tく眼にこの樣を見下して、車を驅《か》れり。我もドメニカ[#「ドメニカ」に傍線]に引かれて、恩人のけふの祝に、蔭ながら與《あづか》らばやと、カムパニア[#「カムパニア」に二重傍線]を立出で、別墅の苑《その》の外に來ぬ。燈の光は窓々より洩れたり。フランチエスカ[#「フランチエスカ」に傍線]とフアビアニ[#「フアビアニ」に傍線]とは、彼處《かしこ》にて禮を卒《を》へつるなり。家の内より、樂の聲響き來ぬ。苑の芝生に設けたる棧敷《さじき》の邊より、烟火空に閃き、魚の形したる火は青天を翔《かけ》りゆく。偶※[#二の字点、1−2−22]《たま/\》とある高窓の背後に、男女の影うつれり。あれこそ夫婦の君なれと、ドメニカ[#「ドメニカ」に傍線]耳語《さゝや》きぬ。二人の影は相依りて、接吻する如くなりき。ドメニカ[#「ドメニカ」に傍線]は合掌して祈祷の詞を唱へつ。我も暗きいとすぎの木の下についゐて、恩人の上を神に祈りぬ。我傍なるドメニカ[#「ドメニカ」に傍線]は二人の御上安かれとつぶやきぬ。烟火の星の、數知れず亂れ落るは、我等が祈祷に答ふる如くなりき。されどドメニカ[#「ドメニカ」に傍線]は泣きぬ。こは
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