食堂
森鴎外

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)痕《あと》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一|纏《まと》めに

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)目を※[#「目+爭」、第3水準1−88−85]《みは》っている

〔〕:アクセント分解された欧文をかこむ
(例)〔|Vis−a`−vis《ウィザ ウィイス》〕 の先生は、
アクセント分解についての詳細は下記URLを参照してください
http://aozora.gr.jp/accent_separation.html
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 木村は役所の食堂に出た。
 雨漏りの痕《あと》が怪しげな形を茶褐色に画《えが》いている紙張の天井、濃淡のある鼠色《ねずみいろ》に汚れた白壁、廊下から覗《のぞ》かれる処だけ紙を張った硝子窓《がらすまど》、性《しょう》の知れない不潔物が木理《もくめ》に染み込んで、乾いた時は灰色、濡《ぬ》れた時は薄墨色に見える床板。こう云う体裁の広間である。中にも硝子窓は塵《ちり》がいやが
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