た顔が何やらに似ている。西洋人が胡桃《くるみ》を噬《か》み割らせる、恐ろしい口をした人形がある。あれを優しく女らしくしたようである。国へ演説に来たとき、一度見た事のある島田三郎という人に、どこやら似ている。どちらも美しくはない。それと違って、スカンクスの奥さんは凄《すご》いような美人で、鼻は高過ぎる程高く、切目の長い黒目勝《くろめがち》の目に、有り余る媚《こび》がある。誰《たれ》やらの奥さんに、友達を引き合せた跡で、「君、今の目附は誰にでもするのだから、心配し給うな」と云ったという話があるが、まあ、そんな風な目である。真黒い髪が多過ぎ長過ぎるのを、持て余しているというように見える。お嬢さん達はすぐに東西の桟敷を折々きょろきょろ見廻して、前より少し声を低めたばかり、大そうな用事でもあるらしく話し続けている。奥さんは良《や》や久しい間、純一の顔を無遠慮に見ていたのである。
「そら、幕が開《あ》いてよ」と縹のお嬢さんが菫のお嬢さんをつついた。「いやあね。あんまりおしゃべりに実が入《い》って知らないでいたわ」
 桟敷が闇《くら》くなる。さすが会員組織で客を集めただけあって、所々の話声がぱったり
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