「》の下では、それはもう疾《と》っくに解決が附いている。肯定せられている。若《も》しこの場合に猶《なお》問題があるとすれば、それは時間の問題に過ぎないだろう。
そしてその時間を縮めようとしている或る物が存《そん》じている。それは小さい記念の数々で、ふと心に留まった坂井夫人の挙動や、詞《ことば》と云う程でもない詞である。Un geste, un mot inarticule[#最後の「e」は「´」付き]《アン ジェスト アン モオ イナルチクユレエ》である。この物は時が立っても消えない。消えないどころではない。次第に璞《あらたま》から玉が出来るように、記憶の中で浄《きよ》められて、周囲から浮き上がって、光の強い、力の大きいものになっている。本を読んでいても、そのペエジと目との間に、この記念が投射せられて、今まで辿《たど》って来た意味の上に、破り棄てることの出来ない面紗《めんしゃ》を被せる。
この記念を忘れさせてくれるLethe《レエテ》の水があるならば、飲みたいとも思って見る。そうかと思うと、又この記念位のものは、そっと棄てずに愛護して置いて、我《わが》感情の領分に、或るelegia
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