《せいめい》の貴さを覚《さと》らない処から、廉価な戦死をするのだと云っている。誰《たれ》の書物をでも見るが好《い》い。殆ど皆そんな風に観察している。こっちでは又西洋人が太古のままの個人主義でいて、家族も国家も知らない為めに、片っ端から無政府主義になるように云っている。こんな風にお互にmeconnaissance[#一つ目の「e」は「´」付き]《メコンネッサンス》の交換をしているうちに、ドイツとアメリカは交換大学教授の制度を次第に拡張《こうちょう》する。白耳義《ベルギイ》には国際大学が程なく立つ。妙な話じゃないか」と云って、大村は黙ってしまった。
 純一も黙って考え込んだ。しかしそれと同時に尊敬している大村との隔てが、遽《にわ》かに無くなったような気がしたので、純一は嬉しさに覚えず微笑《ほほえ》んだ。
「何を笑うんだい」と、大村が云った。
「きょうは話がはずんで、愉快ですね」
「そうさ。一々の詞を秤《はかり》の皿に載せるような事をせずに、なんでも言いたい事を言うのは、我々青年の特権だね」
「なぜ人間は年を取るに従って偽善に陥ってしまうでしょう」
「そうさね。偽善というのは酷かも知れないが
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