、甲らが硬くなるには違いないね。永遠なる生命が無いと共に、永遠なる若さも無いのだね」
 純一は暫く考えて云った。「それでもどうにかして幾分かその甲らの硬くなるのを防ぐことは出来ないでしょうか」
「甲らばかりでは無い。全身の弾力を保存しようという問題になるね。巴里《パリイ》のInstitut Pasteur《アンスチチュウ パストヨオル》にMetschnikoff《メチュニコッフ》というロシア人がいる。その男は人間の体が年を取るに従って段々石灰化してしまうのを防ぐ工夫をしているのだがね。不老不死の問題が今の世に再現するには、まあ、あんな形式で再現する外ないだろうね」
「そうですか。そんな人がありますかね。僕は死ぬまいなんぞとは思わないのですが、どうか石灰化せずにいたいものですね」
「君、メチュニコッフ自身もそう云っているのだよ。死なないわけには行《い》かない。死ぬるまで弾力を保存したいと云うのだね」
 二人共余り遠い先の事を考えたような気がしたので、言い合せたように同時に微笑んだ。二人はまだ老《おい》だの死だのということを、際限も無く遠いもののように思っている。人一人の生涯というものを測
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