めて見れば、内に安心立命を得て、外に十分の勢力を施すというより外有るまいね。昨今はそいつを漢学の道徳で行《い》こうなんという連中があるが、それなら修身斉家治国平天下で、解決は直ぐに附く。そこへ超越的な方面が加わって来ても、老荘を始として、仏教渡来以後の朱子学やら陽明学というようなものになるに過ぎない。西洋で言って見ると希臘《ギリシア》の倫理がPlaton《プラトン》あたりから超越的になって、基督《クリスト》教がその方面を極力開拓した。彼岸に立脚して、馬鹿に神々《こうごう》しくなってしまって、此岸《しがん》がお留守になった。樵夫《きこり》の家に飼ってある青い鳥は顧みられなくなって、余所に青い鳥を求めることになったのだね。僕の考では、仏教の遁世《とんせい》も基督教の遁世も同じ事になるのだ。さてこれからの思想の発展というものは、僕は西洋にしか無いと思う。Renaissance《ルネッサンス》という奴が東洋には無いね。あれが家の内の青い鳥をも見させてくれた。大胆な航海者が現れて、本当の世界の地図が出来る。天文も本当に分かる。科学が開ける。芸術の花が咲く。器械が次第に精巧になって、世界の総てが仏
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