うし、娼妓の型の女を対象にしたら、それは堕落ではないでしょうか」
「そうです。だから恋愛の希望を前途に持っているという君なんぞの為めには、ワイニンゲルの論は残酷を極めているのです。女には恋愛というようなものはない。娼妓の型には色欲がある。母の型には繁殖の欲があるに過ぎない。恋愛の対象というものは、凡《すべ》て男子の構成した幻影だというのです。それがワイニンゲルの為めには非常に真面目な話で、当人が自殺したのも、その辺に根ざしているらしいのです」
「なる程」と云った純一は、暫く詞もなかった。坂井の奥さんが娼妓の型の代表者として、彼れの想像の上に浮ぶ。※[#「※」は「厭+食」、第4水準2−92−73、101−11]《あ》くことを知らないpolype《ポリイプ》の腕に、自分は無意味の餌《え》になって抱《いだ》かれていたような心持がして、堪えられない程不愉快になって来るのである。そしてこう云った。
「そんな事を考えると、厭世《えんせい》的になってしまいますね」
「そうさ。ワイニンゲルなんぞの足跡《そくせき》を踏んで行《い》けば、厭世は免れないね。しかし恋愛なんという概念のうちには人生の酔《えい》
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