、そろそろ人口の耗《へ》って来るフランスなんぞは、娼妓の型の優勝を示しているのに外ならない。要するにこの質《たち》の女はantisociale《アンチソシアル》です。幸《さいわい》な事には、他の一面には母《はは》の型があって、これも永遠に滅びない。母の型の女は、子を欲しがっていて、母として子を可哀《かわい》がるばかりではない。娘の時から犬ころや猫や小鳥をも、母として可哀がる。娵《よめ》に行《い》けば夫をも母として可哀がる。人類の継続の上には、この型の女が勲功を奏している。だから国家が良妻賢母主義で女子を教育するのは尤《もっと》もでしょう。調馬手が馬を育てるにも、駈足は教えなくても好《い》いようなもので、娼妓の型には別に教育の必要がないだろうから」
「それでは女子が独立していろいろの職業を営んで行《い》くようになる、あの風潮に対してはどう思っているのでしょう」
「あれはM>Wの女と看做《みな》して、それを育てるには、男の這入るあらゆる学校に女の這入るのを拒まないようにすれば好《い》いわけでしょうよ」
「なる程。そこで恋愛はどうなるのです。母の型の女を対象にしては恋愛の満足は出来ないでしょ
前へ
次へ
全282ページ中124ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
森 鴎外 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング