が病気と見えて何も食わなくなったと告げた。
 保が家に帰って見ると、五百は床を敷かせて寝ていた。「只今《ただいま》帰りました」と、保はいった。
「お帰《かえり》かえ」といって、五百は微笑した。
「おっ母《か》様、あなたは何も上らないそうですね。わたくしは暑くてたまりませんから、氷を食べます。」
「そんならついでにわたしのも取っておくれ。」五百は氷を食べた。
 翌朝保が「わたくしは今朝《けさ》は生卵にします」といった。
「そうかい、そんならわたしも食べて見よう。」五百は生卵を食べた。
 午《ひる》になって保はいった。「きょうは久しぶりで、洗いに水貝《みずがい》を取って、少し酒を飲んで、それから飯にします。」
「そんならわたしも少し飲もう。」五百は洗いで酒を飲んだ。その時はもう平日の如く起きて坐っていた。
 晩になって保はいった。「どうも夕方になってこんなに風がちっともなくては凌《しの》ぎ切れません。これから汐湯《しおゆ》に這入《はい》って、湖月《こげつ》に寄って涼んで来ます。」
「そんならわたしも往《ゆ》くよ。」五百は遂に汐湯に入《い》って、湖月で飲食《のみくい》した。
 五百は保が久し
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