したやく》杉浦喜左衛門《すぎうらきざえもん》を遣《や》って、照を見させた。杉浦は老実な人物で、貞固が信任していたからである。照に逢って来た杉浦は、盛んに照の美を賞して、その言語《げんぎょ》その挙止さえいかにもしとやかだといった。
結納《ゆいのう》は取換《とりかわ》された。婚礼の当日に、五百《いお》は比良野の家に往って新婦を待ち受けることになった。貞固と五百とが窓の下《もと》に対坐していると、新婦の轎《かご》は門内に舁《か》き入れられた。五百は轎を出る女を見て驚いた。身の丈《たけ》極《きわめ》て小さく、色は黒く鼻は低い。その上口が尖《とが》って歯が出ている。五百は貞固を顧みた。貞固は苦笑《にがわら》をして、「お姉《あね》えさん、あれが花よめ御《ご》ですぜ」といった。
新婦が来てから杯《さかずき》をするまでには時が立った。五百は杉浦のおらぬのを怪《あやし》んで問うと、よめの来たのを迎えてすぐに、比良野の馬を借りて、どこかへ乗って往ったということであった。
暫らくして杉浦は五百と貞固との前へ出て、※[#「桑+頁」、第3水準1−94−2]《ひたい》の汗を拭《ぬぐ》いつついった。「実に分疏
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