と》を信ぜぬというは無礼である。かつ重要の御使《おんつかい》を承わってこれを果さずに還《かえ》っては面目《めんぼく》が立たない。主人はどうしても金をわたさぬか。すぐに返事をせよといった。
 抽斎は坐したままで暫《しばら》く口を噤《つぐ》んでいた。三人が偽《いつわり》の使だということは既に明《あきらか》である。しかしこれと格闘することは、自分の欲せざる所で、また能《あた》わざる所である。家には若党がおり諸生がおる。抽斎はこれを呼ぼうか、呼ぶまいかと思って、三人の気色《けしき》を覗《うかが》っていた。
 この時廊下に足音がせずに、障子《しょうじ》がすうっと開《あ》いた。主客は斉《ひとし》く愕《おどろ》き※[#「目+台」、第3水準1−88−79]《み》た。

   その六十一

 刀の※[#「木+覇」、第4水準2−15−85]《つか》に手を掛けて立ち上った三人の客を前に控えて、四畳半の端《はし》近く坐していた抽斎は、客から目を放さずに、障子の開いた口を斜《ななめ》に見遣《みや》った。そして妻五百の異様な姿に驚いた。
 五百は僅《わずか》に腰巻《こしまき》一つ身に著《つ》けたばかりの裸体であっ
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