ろう。人生の評価は千殊万別である。
わたくしは伊沢蘭軒、渋江抽斎を伝した後、たまたま来ってこの細木香以を伝した。※[#「車+全」、583−6]才《せんさい》わたくしの如きものが敢て文を作れば、その選ぶ所の対象の何たるを問わず、また努《つとめ》て論評に渉《わた》ることを避くるに拘《かかわ》らず、僭越は免れざる所である。
[#地から1字上げ](大正六年九・十月)
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右の細木香以伝は匆卒《そうそつ》に稿を起したので、多少の誤謬《ごびゅう》を免れなかった。わたくしは此《ここ》にこれを訂正して置きたい。
香以伝の末にわたくしは芥川龍之介さんが、香以の族人だと云うことを附記した。幸に芥川氏はわたくしに書を寄せ、またわたくしを来訪してくれた。これは本初対面の客ではない。打絶えていただけの事である。
芥川氏のいわく。香以には姉があった。その婿《むこ》が山王町の書肆《しょし》伊三郎である。そして香以は晩年をこの夫婦の家に送った。
伊三郎の女を儔《とも》と云った。儔は芥川氏に適《ゆ》いた。龍之介さんは儔の生んだ子である。龍之介さんの著《あ
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