の岡田|竜吟《りゅうぎん》と云うものに諮《はか》り、香以が昔の取巻、芳年、梅年、紫玉、竺仙等を駆り集め、香以を新橋の料理屋に招いた。香以は「倒されたる大いなるもの」として、この席に面《おもて》を曝《さら》すことを喜ばなかったが、忍んで後藤等の請を容れた。

       十二

 主人側の後藤等はこの宴会の興を添えむために、当時流行の幇間|松廼家花山《まつのやかざん》を呼んだ。花山は裸踊を以て名を博した男である。犢鼻褌《とくびこん》をだに著けずに真裸になって踊った。しかのみならず裸のままで筆にし難い事をもした。主人側のこれを呼んだのは、固《もと》より流に随って波を揚げたのであるが、その中で紫玉一人は兼て花山の所為《しょい》を悪《にく》んでいたので、もし我目前で尾籠《びろう》の振舞をしたら、懲して遣ろうと待ち構えていた。
 芳年が紫玉の意を忖《はか》って、これを花山に告げた。花山は援《すくい》を茶弘に求めた。茶弘は新橋|界隈《かいわい》に幅を利かせていた侠客《きょうかく》で、花山が親分として戴いていたのである。
 茶弘は花山の請を容れた。筵会の場所は自分の縄張の内である。単身これに赴いて
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