準1−15−19]《く》わぬと云う譬《たとえ》を引いた。多分この講釈は柔術の先生に聞いた事をそのまま繰り返したものかと思われた。
「して見ると、巡査が虎で、我々三人が酔人だね」と、岡田が冷かした。
「Silentium《シレンチウム》 !」と石原が叫んだ。もう無縁坂の方角へ曲る角に近くなったからである。
角を曲れば、茅町《かやちょう》の町家《まちや》と池に沿うた屋敷とが背中合せになった横町で、その頃は両側に荷車や何かが置いてあった。四辻に立っている巡査の姿は、もう角から見えていた。
突然岡田の左に引き添って歩いていた石原が、岡田に言った。「君円錐の立方積を出す公式を知っているか。なに。知らない。あれは造做《ぞうさ》はないさ。基底面に高さを乗じたものの三分の一だから、若し基底面が圏になっていれば、[#ここから横組み]※[#3分の1、1−7−88]r2[#「2」は指数]πh[#ここで横組み終わり]が立方積だ。[#ここから横組み]π=3.1416[#ここで横組み終わり]だと云うことを記憶していれば、わけなく出来るのだ。僕は[#ここから横組み]π[#ここで横組み終わり]を小数点下八位まで
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