ゥ霜が真っ白に置く。深い井戸の長い弔瓶縄《つるべなわ》が冷たいから、梅に気の毒だと云って、お玉は手袋を買って遣《や》ったが、それを一々|嵌《は》めたり脱いだりして、台所の用が出来るものでは無いと思った梅は、貰った手袋を大切にしまって置いて、矢張《やはり》素手で水を汲む。洗物をさせるにも、雑巾掛《ぞうきんがけ》をさせるにも、湯を涌《わ》かして使わせるのに、梅の手がそろそろ荒れて来る。お玉はそれを気にして、こんな事を言った。「なんでも手を濡らした跡をそのままにして置くのが悪いのだよ。水から手を出したら、すぐに好く拭いて乾かしてお置。用が片附いたら、忘れないでシャボンで手を洗うのだよ」こう云ってシャボンまで買って渡した。それでも梅の手が次第に荒れるのを、お玉は気の毒がっている。そしてあの位の事は自分もしたが、梅のように手の荒れたことは無かったのにと、不思議にも思うのである。
朝目を醒まして起きずにはいられなかったお玉も、この頃は梅が、「けさは流しに氷が張っています、も少しお休になっていらっしゃいまし」なぞと云うと、つい布団にくるまっている様になった。教育家は妄想《もうぞう》を起させぬために
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