が、單《たん》に同《おな》じ對象《たいしやう》を尊敬《そんけい》する場合《ばあひ》を顧慮《こりよ》して云《い》つて見《み》ると、道《みち》を求《もと》める人《ひと》なら遲《おく》れてゐるものが進《すゝ》んでゐるものを尊敬《そんけい》することになり、こゝに言《い》ふ中間人物《ちゆうかんじんぶつ》なら、自分《じぶん》のわからぬもの、會得《ゑとく》することの出來《でき》ぬものを尊敬《そんけい》することになる。そこに盲目《まうもく》の尊敬《そんけい》が生《しやう》ずる。盲目《まうもく》の尊敬《そんけい》では、偶《たま/\》それをさし向《む》ける對象《たいしやう》が正鵠《せいこく》を得《え》てゐても、なんにもならぬのである。
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閭《りよ》は衣服《いふく》を改《あらた》め輿《よ》に乘《の》つて、台州《たいしう》の官舍《くわんしや》を出《で》た。從者《じゆうしや》が數《すう》十|人《にん》ある。
時《とき》は冬《ふゆ》の初《はじめ》で、霜《しも》が少《すこ》し降《ふ》つてゐる。椒江《せうこう》の支流《しりう》で、始豐溪《しほう
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