ているような態度になることが出来るのである。
ロダンは晴やかな顔つきをして、このあまたの半成の作品を見渡した。広々とした額。中《なか》ほどに節のあるような鼻。白いたっぷりある髯《ひげ》が腮《あご》の周囲に簇《むら》がっている。
戸をこつこつ叩《たた》く音がする。
「Entrez《アントレエ》 !」
底に力の籠《こも》った、老人らしくない声が広間の空気を波立たせた。
戸を開けて這入《はい》って来たのは、ユダヤ教徒かと思われるような、褐色《かっしょく》の髪の濃い、三十代の痩《や》せた男である。
お約束の Mademoiselle《マドモアセユ》[#ルビの「マドモアセユ」は底本では「マドモアセエ」] Hanako《ハナコ》 を連れて来たと云った。
ロダンは這入って来た男を見た時も、その詞《ことば》を聞いた時も、別に顔色をも動かさなかった。
いつか Kambodscha《カンボヂヤ》 の酋長がパリに滞在していた頃、それが連れて来ていた踊子を見て、繊《ほそ》く長い手足の、しなやかな運動に、人を迷わせるような、一種の趣のあるのを感じたことがある。その時急いで取った dessins《デ
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