潜りまでせられまして有ゆる方面の防禦をして居られます。恰《あたか》も其の老吏獄を斷ずと云ふ樣な工合、或は Sophist の論とでも云ふ樣な工合に、大變巧みに出來て居りまして、御苦心の程を察するのであります。是れも十分の尊敬を拂つて聽きましたけれども、是れも同意は出來ないのであります。一體正邪と云ふことを説きまするは甚だ聽苦しいことでありまして、所謂芳賀博士の言はれた愛國説などにも關係を有つて來る。一體道義のことなどを口にすることは聽苦しい。口で忠義立をする程卑しいことはありませぬ。哲學者の Theodor Vischer が云ひましたことに das Moralische versteht sich von selbst と云ふことがある。道義上のことは言を俟たない。これを口癖に Vischer は言つて居ました。そんなことを言ふのは一體要らないことである。併し國運の消長が言語に關係を有ち又言語の精華たる文語に關係を有つて居る、隨つて假名遣にも關係を有つて居ることは明白であります。獨逸の如きは新假名遣の運動が盛んに起りまして學校等で隨分廣く用ゐるやうになりましたけれども、Bismarc
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