ます。是れが成程定家假名遣の出た後には愈※[#二の字点、1−2−22]盛んになつて來て居りますけれども、是れは單に修辭上 Rhetorik 上の問題であります。昔は同音の「いひかけ」と云ふものがあつたのに、後世に至つて類音の「いひかけ」が出來たと斯う認定すれば、それで足つて居るのであります。之に付いて何か後世の人が極まりを付けようと思ふならば、上からかかつて居る假名に書くか、下で受ける方の假名に書くかと云ふことを極めて置きさへすれば、其位な規定を書方に設けたならば、之を認めて置いて一向|差支《さしつかへ》ない。類音の「いひかけ」が新に修辭上に出來たと思へば何の差支もありませぬ。それから定家假名遣と云ふものは、是れは少數者の用ゐたものであると云ふことになつて居ります。之には多少異議を挾み得るかも知れませぬ。北朝の文和、北朝の年號に文和と云ふのがあります、十四世紀の頃、彼の文和の頃に權少僧都《ごんせうそうづ》成俊が萬葉集の奧書をしました。それに「天下大底守彼式《てんかたいていかのしきをまもりて》、而異之族一人而無之《これにことなるやからひとりとしてこれなし》」、「彼式」と云ふのは定家假名遣
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