きて居ります。それから當局の方でも又調査の初めから此事に關係して居られる渡部君の如きは詳しい説明を致されました。其外達識なる矢野君の如き方の議論もありました。又自分の後に通告になつて居ります中には伊澤君のやうな經驗のある人もあります。又其の他諸先生が居られる。然るに私が斯んな問題に就いて此處で述べると云ふのは誠に無謀であつて甚《はなは》だ烏許《おこ》がましいやうに自分でも思ひます。併《しか》し私は少し今まで聽いたところと觀察が違ひますので、物の見やうが違つて居りますので、それを述べて置かぬと云ふと、後に意見が述べにくいのであります。それゆゑ已《や》むことを得ず申します。
一體假名遣と云ふ詞《ことば》は定家《ていか》假名遣などと云ふときから始まつたのでありませうか。そこで此物を指して自分は單に假名遣と云ひたい。さうして單に假名遣と云ふのは諸君の方で言はれる歴史的の假名遣|即《すなは》ち古學者の假名遣を指すのであります。而も其の假名遣と云ふ者を私は外國の Orthographie と全く同一な性質のものと認定して居ります。芳賀博士の奇警なる御演説によると外國の者とは違ふと云ふことでござい
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