所蔵不過緊要必読之書。然皆古刻旧鈔。審定真本而蔵之。是正学蔵家所銓択也。要之雖有醇※[#「酉+璃のつくり」、第4水準2−90−40]之別。非有識見。則不能為銓択矣。」
蘭軒は八十九年前に於て此|言《こと》をなした。然るに今の蔵家を観るに二派は猶劃然として分れてゐる。
方今校刻の業盛に興つて、某会某社と称するもの指|※[#「てへん+婁」、7巻−355−上−8]《かゞな》ふるに遑《いとま》あらざる程である。若し貲《し》を投じ盟に加はつてゐたら、立どころに希覯《きこう》の書万巻を致さむことも、或は難きことを必《ひつ》とせぬであらう。
独り奈何《いかん》せむ、彼諸会社は皆正学と好事との二派を一網打尽せむと欲してゐる。世間好事者の多いことは、到底正学者の比ではない。それ故に会社が校刻書目を銓択するときに、好事者の好に投ずるものが十の八九に居る。その甚しきに至つては初め正学者の用をなすもの一二部を出して、後全く継刊せざるにさへ至る。洵《まこと》に惜むべきことの甚だしきである。
わたくしの如きは戯曲小説の善本を相応に尊重するものである。多少の好事趣味をも解するものである。しかし書を求むるには
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