君已六世。」詩は七絶二首である。其後者の後半に、「経年二百凌霜雪、春色異他妖艶叢」と云つてある。
蘭軒が詩会を草堂より余所へ持ち出すことは前年に一たび歇《や》んでゐて、此三月に又旧に復した。「三月十三日篠池清香亭席上」の詩がある。題は「春陰」で、体は五律である。
次で十六日に蘭軒は向島に遊んだ。「三月十六日与狩谷少卿、渋江子長、森立夫及児重、同遊墨水。途中遇雨。」少卿は※[#「木+夜」、第3水準1−85−76]斎の子|懐之《くわいし》である。子長《しちやう》は抽斎|全善《かねよし》、立夫《りつふ》は枳園立之《きゑんりつし》、並に年少の門人である。重《ちよう》は三男柏軒である。五律の五六に「投老心雖懶、逢春興自繁」と云つてある。
十七日に蘭軒は夏時|韈《べつ》を着くることを乞うて、十日の後に允《ゆる》された。勤向覚書の文に曰く。「同年三月十七日左之願書付差出置候処、同月廿七日願之通勝手次第と平助殿被仰渡候。口上之覚。私儀足痛所御座候に付、不出来之節は夏中足袋相用申度奉願上候。右之趣宜敷被仰達可被下候以上。三月。伊沢辞安。但粘入半切上包半紙折懸上に名計。」是が覚書の最後の記載である。
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