》ともにさだめて依旧候覧《きうによりそろらむ》。ことしは西遊はなきや。御次《おんついで》に宜奉願上候。去年宮島よりいづかたいかなる遊びに候ひしや承度候。さて御次に古庵様市川子成田鵜川(近得一書未報)諸君へ宜奉願上候。梧堂は杳然《えうぜん》寸耗《すんばう》なし。いまだ東都に候哉。もはや帰郷に候哉。もしゐられ候はば宜御申可被下候。松島の画題は届候哉。種々旧遊憶出候而御なつかしく奉存候。御内上様《おんうちうへさま》おさよどのへも御次に宜奉願上候。妻も宜申上よと申候。恐惶謹言。三月九日。(正月二日|祁寒《きかん》、硯に生冰《こほりをしやうず》。そののち尋常。花朝前《くわてうぜん》一夕雷雨めづらしく、二月廿三日小地震、三月八日亦小地震。其外なにごともなし。)菅太中晋帥。伊沢辞安様。」
「令郎様高作驚目申候。実底に御読書あれかしと奉存候。才子は浮躁なりやすきものに候。」

     その百二十八

 菅茶山が「かくて七十五にも相成候」と書した此年壬午三月九日の書牘にも、例の如く許多《あまた》の人名が見えてゐる。しかし此度は新しい名字は無い。
 市野迷庵の質愨《しつかく》が能く北条霞亭を感動せしめた
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