が番医師にせられ、森氏では枳園立之《きゑんりつし》の父|恭忠《きようちゆう》が歿した。後に小島氏の姻戚となる塙氏では保己一が歿した。
此年蘭軒は四十五歳、妻益は三十九歳、子女は榛軒十八、常三郎十七、柏軒十二、長八つ、順二つであつた。
その百二十七
文政五年の元日には江戸は雪が降つて、夕《ゆふべ》に至つて霽《は》れた。蘭軒は例に依つて詩を遺してゐる。「壬午元日雪、将※[#「日+甫」、第3水準1−85−29]新霽、天気和煦、即欣然而作。梅花未発雪花妍。方喜新年兆有年。不似三冬寒気沍。瑤台玉樹自春烟。」尋《つい》で「豆日艸堂集」も亦雪の日であつた。五律の前半に、「入春纔九日、白雪再霏々、未使花香放、奈何鶯語稀」と云つてある。
菅茶山の集には歳首の詩が闕けてゐる。七日に至つて「初春逢置閏、四野未浮陽」、又「誰家挑菜女、載雪満傾篋」の句がある。これは「人日雪」と題する五律の三四七八である。第三は此年に閏《うるふ》正月のあつたことを斥《さ》すのである。此春の初は神辺《かんなべ》も亦寒かつたものと見える。
勤向覚書を見るに、「二月廿五日、次男盤安去年中文学出精に付奉蒙御意候」の
前へ
次へ
全1133ページ中414ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
森 鴎外 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング