狂歌がわたくしに※[#「木+夜」、第3水準1−85−76]斎の相貌を教へたことである。此歌より推せば、※[#「木+夜」、第3水準1−85−76]斎は一箇の胖大漢で便々たる腹を有してゐたらしい。しかし三村清三郎さんは※[#「木+夜」、第3水準1−85−76]斎が美丈夫であつたと云ふことを聞き伝へてゐるさうである。然らば所謂かつぷくの好い立派な男であつたのだらう。

     その百十六

 狩谷※[#「木+夜」、第3水準1−85−76]斎は辛巳西遊の途上、木曾で桜の句を得て、これを蘭軒に与ふる書中に記し、松宇に伝へ示さむことを嘱した。
 わたくしは※[#「くさかんむり/姦」、7巻−234−上−7]斎《かんさい》詩集の戊寅の作中、蘭軒が真野松宇の庭の瞿麦《なでしこ》を賞したことを憶ひ出した。そして※[#「木+夜」、第3水準1−85−76]斎の謂ふ松宇は此真野松宇であらうと云ひ、又※[#「木+夜」、第3水準1−85−76]斎が特に其俳句を示さうとしたことより推して、松宇は俳趣味のある人であつただらうと云つた。
 わたくしが前記の文稿を郵便に附し去つた時、忽ち一の生客があつて刺を通じた。刺には
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