獣山水楼閣舟車之状、至花時、都人看者為群、漫賦一絶。菊花種法戸争新。衒世巧粧妙入神。不奈逸然彭沢令。強為郷里折腰人。」茶山の評に云く。「十一年前余在都下。菊月歴観諸藝戸。未見奇巧如此者。人巧日競。天真漸微。読此詩亦発一慨。」序に楓の詩をも録する。「看楓。菊花看尽又看楓。村路吟行暖似※[#「火+共」、第3水準1−87−42]。猶是秋光有深浅。半渓未染半渓紅。」看楓の地は滝の川か。「野遊」の律も亦恐くは同じ時の作であらう。「黄葉林間茶店榻、黄蘆岸上酒家旗」の聯がある。
柳橋を過ぐる詩と橿園《かしぞの》に訪はれた詩とには、稍衰残の気象が見える。「過柳橋。嘗酔江辺春酒楼。如今袖手過橋頭。杜娘何去韋娘老。岸柳条々餞暮秋。」茶山の評に云く。「昨日少年今白頭。」橿園に訪はれた詩には、蘭軒が自ら白髪を語つてゐる。「秋日木駿卿来訪、閑談至夕。竹門風政柝。熟客不驚禽。新醸香猶浅。旧歓談自深。数茎看白髪。十載想青衿。開口宜共笑。天公定有心。」三四の下《もと》に茶山が「字法」の二字を著けてゐる。
此秋の蘭軒が病は例の足疾であつた。勤向覚書に下《しも》の如き記事がある。「九月十九日足痛相煩候に付、引込保養仕
前へ
次へ
全1133ページ中225ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
森 鴎外 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング