なることを言つてゐた。
 蘭軒は道号に蘭※[#「くさかんむり/間」、第4水準2−86−80]等の字を用ゐたので、特に蘭草のために多く詞を費すことを厭はなかつたのである。村片相覧《むらかたあうみ》の作つた蘭軒の画像には、背後の磁瓶《じへい》にふぢばかまの花が插してある。村片は信階《のぶしな》信恬《のぶさだ》二世の像を作つた。蘭軒の像の事は重て後に言ふこととする。
 わたくしは※[#「くさかんむり/姦」、7巻−113−上−2]斎《かんさい》詩集に阿部侯|棕軒《そうけん》の評語批圏のあることを言つたが、侯の閲を経た迹は此年の秋の詩に至るまで追尋することが出来る。是より以下には菅茶山の評点が多い。
 冬の詩は五首ある、十月には蘭軒が病に臥してゐた。「病中雑詠。空負看楓約。抱痾過小春。酒罌誰発蓋。薬鼎自吹薪。業是兼旬廃。家方一段貧。南窓炙背坐。独有野禽親。」業を廃し※[#「米+胥」、第4水準2−83−94]《しよ》を失つたと云ふを見れば、病は稍重かつたであらう。
 蘭軒の病は十一月後に※[#「やまいだれ+差」、第4水準2−81−66]《い》えてゐた。冬の詩の中には「雪中探梅」の作もある。
 此年
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