女と見合いをして縁談を取りきめようなどということは自分にも不可能であったから、自分と同じ欠陥があって、しかも背の低い仲平がために、それが不可能であることは知れている。仲平のよめは早くから気心を識り合った娘の中から選び出すほかない。翁は自分の経験からこんなことをも考えている。それは若くて美しいと思われた人も、しばらく交際していて、智慧《ちえ》の足らぬのが暴露してみると、その美貌《びぼう》はいつか忘れられてしまう。また三十になり、四十になると、智慧の不足が顔にあらわれて、昔美しかった人とは思われぬようになる。これとは反対に、顔貌《かおかたち》には疵《きず》があっても、才人だと、交際しているうちに、その醜さが忘れられる。また年を取るにしたがって、才気が眉目をさえ美しくする。仲平なぞもただ一つの黒い瞳をきらつかせて物を言う顔を見れば、立派な男に見える。これは親の贔屓目《ひいきめ》ばかりではあるまい。どうぞあれが人物を識った女をよめにもらってやりたい。翁はざっとこう考えた。
翁は五節句や年忌に、互いに顔を見合う親戚の中で、未婚の娘をあれかこれかと思い浮べてみた。一番|華《はな》やかで人の目につ
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