した事の報《むくい》だからいたし方がございません。ほんに/\お恥かしい。」
「あなたは夫をお持ちでしたね。その時のお暮しは。」
「それは恐ろしい世渡でございました。最初には卑しい心から、その人の顔形や様子が好きになりまして夫婦になりました。お父う様は反対せられました。それでもわたくしは道理のある親の詞に背いて夫婦になりました。それから夫婦になつたところで、夫の手助けにならうとはせずに、嫉妬を起して夫を責めてばかりゐました。どうもその嫉妬が止められませんで。」
「あなたの御亭主は酒を上つたさうですね。」
「さやうでございます。それを止めさせるやうにいたす事が、わたくしには出来ませんでした。わたくしは只小言ばかり言つてゐました。夫が酒を飲むのは病気だと云ふ所に気が付かなかつたのでございます。夫は飲まなくてはゐられなかつたのでございます。それをわたくしが無理に止めさせようといたしました。それで恐ろしい喧嘩ばかりいたしました。」かう云つてパシエンカはまだ美しい目に苦痛の色を現してセルギウスを見た。
 セルギウスはパシエンカが夫に打たれてゐたと云ふ話を思ひ出した。そして頸が痩せ細つて耳の背後《う
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