しろ》に太い静脈が出て、茶褐色の髪が白髪になり掛かつて稀《うす》くなつてゐるパシエンカを見て、此女がどうして今までの日を送つて来たかと云ふ事が、自然に分つて来たやうな気がした。
「それからわたくしは財産のない後家になつて、二人の子供を抱へてゐました。」
「あなたは田地を持つてゐなすつたではありませんか。」
「田地はワツシヤが生きてゐるうちに売り払つて、そのお金は使つてしまひました。どうも暮しに掛かりますものですから。若い女は皆さうでございますが、わたくしは何も分りませんでした。わたくしは誰よりも愚《おろか》で、物分りが悪かつたかと存じます。わたくしは有る丈の物を皆使つてしまひました。それからわたくしは子供に物を教へなくてはならないので、やう/\自分にも少し物が分つて参りました。それからもう四学年になつてゐたミチヤが病気になりまして、神様の許へ引き取られてしまひました。それからマツシヤが今の婿のワニヤが好きになりました。ワニヤは善い人でございますが、不為合な事には病気でございます。」
 突然娘が来て母の詞を遮つた。「おつ母さん。ちよいとミツシヤを抱つこして下さい。わたし体を二つに分けて使
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