りながら其子を捨つる時、此不思議なる出来事の原因を記したる帯を添へて捨てさせし由に候。帯に記したる所は、后が王の寵愛を受けし場所は王宮の花園にして、其処には希臘《グレシア》の男女《なんによ》の神体を彫《きざ》める美しき大理石の立像|数多《あまた》有りし由に候。后は王の寵愛を受くる時、常に其石像を見守《まも》りし由に候。今一つの事例は、千六百三十七年|仏国《ふつこく》にて証明せられし出来事にして、是等は此類の事件を信ずる者の必ずしも無教育者若しくは迷信家のみにあらざることを証するに余あるやう存ぜられ候。其事実は四年間|良人《をつと》に別れ居りし妻、一|男子《なんし》を生みしが、其女は始終良人と同衾する夢を見居りし由に候。当時の医師産婆等は皆|斯《か》かる事実の有り得べきことを表白し、ハアウルの裁判所にても、生れたる男子《だんし》に嫡出子のあらゆる権利を与へし由に候。ハンベルヒの著述『自然に於ける不思議なる事実』の七十四頁にも似寄の記事有之候。或婦人の生みし子、獅子の頭《かしら》を有し居りしが、其婦人は妊娠して七箇月目に母と良人とに伴はれて獅子使ひの見世物を見物せし由に候。又リムビヨツクの
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