古賀と児島と僕との三人は、寄宿舎全体を白眼に見ている。暇さえあれば三人集まる。平生性欲の獣を放し飼にしている生徒は、この triumviri の前では寸毫《すんごう》も仮借せられない。中にも、土曜日の午後に白足袋を穿《は》いて外出するような連中は、人間ではないように言われる。僕の性欲的生活が繰延になったのは、全くこの三角同盟のお陰である。後になって考えて見れば、若《も》しこの同盟に古賀がいなかったら、この同盟は陰気な、貧血性な物になったのかも知れない。幸に荒日を持っている古賀が加わっていたので、互に制裁を加えている中にも、活気を失わないでいることを得たのであろう。
或る土曜の事である。三人で吉原を見に行こうということになる。古賀が案内に立つ。三人共小倉袴に紺足袋で、朴歯《ほおば》の下駄をがらつかせて出る。上野の山から根岸を抜けて、通新町を右へ折れる。お歯黒|溝《どぶ》の側を大門《おおもん》に廻る。吉原を縦横に濶歩《かっぽ》する。軟派の生徒で出くわした奴は災難だ。白足袋がこそこそと横町に曲るのを見送って、三人一度にどっと笑うのである。僕は分れて、今戸《いまど》の渡《わたし》を向島へ渡っ
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