グ附近の島と島との間で、漁猟を致してゐました。一体波の激しく岩に打ち付ける所では漁の多いことがあるもので、只そんな所へ漕ぎ出す勇気さへあれば、人の収め得ない利益をも収め得ることが出来るものでございます。兎に角ロフオツデン沿岸の漁民は沢山ありますが、只今申した島々の間で、極まつて漁をするものは、わたくし共三人きやうだいの外にはございませんでした。普通の漁場《れふば》は、わたくし共の行く所よりずつと南に寄つた沖合なのでございます。そこまで行けば、いつでも危険を冒さずに、漁をすることが出来るので、誰でもまづその方へ出掛けるのでございます。併しわたくし共の行く岩の間で取れる魚《うを》は、種類が沖合より余程多くて、魚の数もやはり多いのでございます。どうか致すと、沖に行く臆病な人が一週間も掛かつて取るだけの魚を、わたくし共は一日に取つて帰りました。つまりわたくし共は山気《やまぎ》のある為事《しごと》をしてゐたのでございますね。胆力を資本にして、性命を賭してやつてゐたといふわけでございますね。」
「大抵わたくし共は、こゝから五哩ほど上の入海のやうな所に船を留めてゐまして、天気の好いときに、潮の鎮まつ
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