から裸の半身を乗り出して、まだ歌い踊っているような恰好の老人を見出した。
 検死の結果、心臓麻痺と診断された。娘から来た十何円の金は、そっくりそのまま枕頭の財布の中に入っていた。
「紙幣を握って死ぬなんて、極楽往生じゃねえか、なア」と村人はこの老爺の死をうらやんだ。



底本:「犬田卯短編集二」筑波書林
   1982(昭和57)年2月15日第1刷発行
入力:林 幸雄
校正:松永正敏
2007年12月8日作成
青空文庫作成ファイル:
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