してあれだけの盛な競馬は、成程競馬と云ふものは皆が気違になるものだ。色々階級など豪い人も居れば、其日に困つて居る人でも、矢張行つて居るのですから、さう云ふ所を研究して来るのには、沢山商売上の価値があるよと勧めたものですから、一遍見やうかと云つてちらほら来る。来れば只見て居られぬ、一寸馬券を買ふ負ければ口惜しいから又買ふ、其中に取る、取つた時の味が今云ふ通り何とも譬へやうがない愉快な所があるから、つい又買ふ。其日帰つて来ても明くる日あると思ふと、明けると凝つとして居られませんで出掛けて行く、それで今の所では連中内で二十人位でせうね。大分夢中になりました。
配当は公認競馬は一割五分天引き、詰り競馬場の手数として取るのです。後に残った八割五分を買つた馬の馬券数に割つて払戻と云ふことになる。で無論勝馬の投票が少なくて、二百円越せばあとはクラブの収得となつて居ます。草競馬は天引二割です。
それから面白いのは雨の降つた日です。歯の附いた履物を履かしません。いや歯の物は雨が降つても降らぬでもさうです。よつて雨が降ると靴より仕方がない、さうすると長靴履いて、それが妙齢の婦人ですわね、而も一流の……
前へ
次へ
全18ページ中10ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
桂 小南 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング